引込線/放射線パブリケーションズ
 
オンライン読書会:ジャン・ボードリヤール
『象徴交換と死』第五部 経済学と死
 

 
 
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オンライン読書会
ジャン・ボードリヤール
『象徴交換と死』
第五部 経済学と死
 

ジャン・ボードリヤール『象徴交換と死』(今村仁司・塚原史訳、ちくま学芸文庫、1992年、原著1975年)「第五部 経済学と死」の読書会を、オンラインで開催します。
 
新型コロナウイルス禍の現在、私たちは何より、ますます死をどうやって扱ってよいかわからなくなっているのではないでしょうか。死とは社会的なものです。そして死をどのように捉えるかという問題をめぐって社会制度は形作られていきます。ボードリヤールの『象徴交換と死』は、宗教、経済、精神分析、科学を横断する広い視野から、死と社会の問題を考察した本です。彼はこの著作のなかで、諸々の他者を差別すること以上に根源的な排除として西欧近代社会の合理性の土台をなしているのは死者と死の排除である、と論じています。私たちのこの社会もまた、生から死を切り離すことで成り立っているとは言えないでしょうか。私たちの生がいつのまにか死後の生のようにみえてきているとすれば、それはどうしてでしょうか。私たちの生が「蓄積としての生」であり、私たちの死が「満期としての死」と化してしまっていることこそが問題なのではないでしょうか。権力はいつでも死を操作し管理することで権力たり得ますが、そればかりではありません。経済もまたそこに絡んでいます。「資本主義的様式においては、誰もがたったひとりで一般的等価物の前に立つ。同様に、誰もがたったひとりで死に直面する。そしてこのことは偶然の一致ではない。なぜなら、一般的等価物とは死であるからだ」。この「たったひとりで(つまり他ならぬこの私だけが)」と「誰もが(つまりみんな等しく)」とのスムーズな連結の欺瞞を突くところに、ボードリヤールが「象徴交換」と呼んだ社会性の根幹にあるもの、すなわち、交換不可能なはずのものが交換される事態が存しているのです。
 
今回の読書会では時間にかぎりがあるため、第五部のなかで重要だと思われる箇所をいくつか選んで、ポイントを絞って読み、議論していく予定です。参加者は『象徴交換と死』全編を通読しておく必要はありませんが、できれば「第五部 経済学と死」はあらかじめ一読しておいていただきたいと思います。ぜひ奮ってご参加ください。
 
 
日時:2021年2月26日(金)19:00~22:00 (18:45開場)
場所:オンライン(Zoom)
主催:引込線/放射線パブリケーションズ
参加費:無料(予約制)
予約方法:参加を希望される方はお名前とメールアドレスをご明記の上、以下の窓口までご連絡下さい。開演の一時間前までにメールでオンライン会議室(Zoom)のIDをお知らせします。
イベント窓口:politics.exhi@gmail.com
 
『政治の展覧会:世界大戦と前衛芸術』
https://hikikomisen-hoshasen.com/2019/seijinotenrankai.html
*『政治の展覧会』の2冊目を2021年8月頃に出版予定 *
 
 

ジャン・ボードリヤール『象徴交換と死』(今村仁司・塚原史訳、ちくま学芸文庫、1992年、原著1975年)「第五部 経済学と死」の読書会を、オンラインで開催します。
 
新型コロナウイルス禍の現在、私たちは何より、ますます死をどうやって扱ってよいかわからなくなっているのではないでしょうか。死とは社会的なものです。そして死をどのように捉えるかという問題をめぐって社会制度は形作られていきます。ボードリヤールの『象徴交換と死』は、宗教、経済、精神分析、科学を横断する広い視野から、死と社会の問題を考察した本です。彼はこの著作のなかで、諸々の他者を差別すること以上に根源的な排除として西欧近代社会の合理性の土台をなしているのは死者と死の排除である、と論じています。私たちのこの社会もまた、生から死を切り離すことで成り立っているとは言えないでしょうか。私たちの生がいつのまにか死後の生のようにみえてきているとすれば、それはどうしてでしょうか。私たちの生が「蓄積としての生」であり、私たちの死が「満期としての死」と化してしまっていることこそが問題なのではないでしょうか。権力はいつでも死を操作し管理することで権力たり得ますが、そればかりではありません。経済もまたそこに絡んでいます。「資本主義的様式においては、誰もがたったひとりで一般的等価物の前に立つ。同様に、誰もがたったひとりで死に直面する。そしてこのことは偶然の一致ではない。なぜなら、一般的等価物とは死であるからだ」。この「たったひとりで(つまり他ならぬこの私だけが)」と「誰もが(つまりみんな等しく)」とのスムーズな連結の欺瞞を突くところに、ボードリヤールが「象徴交換」と呼んだ社会性の根幹にあるもの、すなわち、交換不可能なはずのものが交換される事態が存しているのです。
 
今回の読書会では時間にかぎりがあるため、第五部のなかで重要だと思われる箇所をいくつか選んで、ポイントを絞って読み、議論していく予定です。参加者は『象徴交換と死』全編を通読しておく必要はありませんが、できれば「第五部 経済学と死」はあらかじめ一読しておいていただきたいと思います。ぜひ奮ってご参加ください。
 
 
日時:2021年2月26日(金)19:00~22:00 (18:45開場)
場所:オンライン(Zoom)
主催:引込線/放射線パブリケーションズ
参加費:無料(予約制)
予約方法:参加を希望される方はお名前とメールアドレスをご明記の上、以下の窓口までご連絡下さい。開演の一時間前までにメールでオンライン会議室(Zoom)のIDをお知らせします。
イベント窓口:politics.exhi@gmail.com
 
『政治の展覧会:世界大戦と前衛芸術』
https://hikikomisen-hoshasen.com/2019/seijinotenrankai.html
*『政治の展覧会』の2冊目を2021年8月頃に出版予定 *